イギリス国旗の意味・由来・名前をわかりやすく解説してみた!

イギリスに移住したものの、国旗についてよくわかっていないことに最近気づいてしまいました(笑)

この記事では、イギリス国旗の意味・由来・名前について、できるだけわかりやすく解説してみましたのでぜひ続きをご覧ください。

イギリス国旗の正式名称と意味

ユニオンジャックとは?

イギリス国旗は一般的に「ユニオンジャック(Union Jack)」と呼ばれています。この名称は日本でもよく知られており、デザインそのものも個性的で、世界中で親しまれています。ユニオンジャックは、イギリスを構成するイングランド、スコットランド、北アイルランドの聖人旗を組み合わせたデザインで成り立っており、それぞれの歴史や文化を象徴しています。一方、正式な場所では「ユニオンフラッグ(Union Flag)」という呼称が用いられることもあります。

正式名称「ユニオンフラッグ」の由来

ユニオンジャックの正式名称は「ユニオンフラッグ(Union Flag)」です。この名称は、歴史的にイギリスの構成国が一つの「連合王国」としてまとまったことを象徴しています。この連合の始まりは1606年にさかのぼり、イングランドとスコットランドの国旗を合成した最初のユニオンフラッグから始まりました。その後、1801年にアイルランドも加わり、現在のデザインが完成しました。フラッグ(旗)という言葉が使われるのは、陸上や公式の場で多用されるためです。

「ジャック」という名前の意味

「ユニオンジャック」という名前に含まれる「ジャック(Jack)」という言葉は、海に関連しています。その由来には諸説ありますが、もともとは船のマストに掲げられる小さな旗(ジャック旗)を指していたと言われます。このため、特にユニオンジャックは海軍との結びつきが強く、海上で使用される際に好まれました。イギリスがかつて「海洋国家」として世界中にその影響力を広めていた歴史が、この名称に込められているとも考えられます。

ユニオンジャックの色の意味

イギリス国旗に使われている色にもそれぞれ意味があります。白は平和と純潔、赤は勇気と強さ、青は忠誠と誠実を象徴しています。これらの色は、イギリスを構成するそれぞれの国旗で使用されていたものが基になっています。たとえば、イングランドの聖ジョージ旗は白地に赤の十字が特徴であり、スコットランドの聖アンドリュース旗は青地に白い斜め十字、アイルランドの聖パトリック旗は白地に赤の斜め十字というデザインです。それらを調和させることで、ユニオンジャック全体としてイギリスの統一感を強調したデザインになっています。

構成する3つの旗の由来

イングランドの聖ジョージ旗

イギリス国旗の中心にある赤い十字は、イングランドの聖ジョージ旗を表しています。聖ジョージはイングランドの守護聖人であり、そのシンボルである白地に赤い縦横の交差する十字は、13世紀ごろからイングランドで使われるようになりました。特に1277年にはイングランド王国の公式な旗として採用され、戦場や儀式で掲げられるようになりました。この旗は、イギリス国旗の基礎となる重要な要素です。

スコットランドの聖アンドリュース旗

スコットランドを象徴するのは、青地に白い斜め十字のデザインが特徴の聖アンドリュース旗です。聖アンドリューはスコットランドの守護聖人であり、彼が磔刑に処された際の斜め十字の形が旗のデザインの由来とされています。この旗は、イングランドとの同君連合が成立した1606年、イギリス国旗の構成要素として初めて加えられました。それまで独立した王国だったスコットランドの歴史と伝統を今でも色濃く反映しています。

アイルランドの聖パトリック旗

アイルランドを象徴する白地に赤い斜め十字は、聖パトリック旗として知られています。聖パトリックはアイルランドにキリスト教を広めた守護聖人であり、その功績をたたえてこのデザインが採用されました。この旗が国旗に組み込まれたのは、1801年のグレートブリテンおよびアイルランド連合王国の成立時です。これにより、現在のユニオンジャックが完成しました。この赤い斜め十字は、アイルランドの独特な文化と宗教的背景を象徴しています。

ウェールズが国旗に含まれない理由

イギリス国旗には、ウェールズを象徴する要素が含まれていません。その主な理由は、ウェールズが歴史的にイングランドの一部として統治されてきたためです。1282年にイングランドによってウェールズ公国が併合され、その後、イングランドの一部とみなされるようになりました。このため、ウェールズのシンボルである赤いドラゴンはイギリス国旗に描かれず、ユニオンジャックに直接反映されることはありません。ただし、ウェールズ自体には独自の旗が存在し、その赤いドラゴンは今でもウェールズの文化と誇りを象徴しています。

国旗からわかるイギリスの歴史

イギリスの連合王国としての成り立ち

イギリスの国旗である「ユニオンジャック」のデザインは、イギリスが四つの構成国からなる「連合王国」であることを象徴しています。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドという構成国はそれぞれ独自の歴史や文化を持ち、最初から一つの国として存在していたわけではありません。

イングランドとスコットランドは、それぞれ独立した国家として時に対立し、時に協力してきました。しかし、1603年にスコットランド王ジェームズ6世がイングランド王ジェームズ1世として即位すると、両国は同じ君主を持つ「同君連合」となりました。その後1707年には「イングランド王国」と「スコットランド王国」の政治的統一が果たされ、グレートブリテン王国が成立しました。これが、現在の連合王国(UK)の原点といわれています。

さらに1801年にはアイルランドも連合に加わり、「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」が成立しました。このような歴史の過程が、現在のイギリス国旗デザインにも反映されています。

国旗に込められた統一の象徴

ユニオンジャックには、イギリスを構成する各国の象徴である3つの旗が組み込まれています。イングランドの「セント・ジョージ・クロス」、スコットランドの「セント・アンドリュー・クロス」、そして北アイルランドを表す「セント・パトリック・クロス」です。この三つの旗を重ね合わせて作られたデザインは、イギリスが異なる地域や文化を持つ構成国の連合体であることを表し、統一の象徴となっています。

ただし、ウェールズはその時点で既にイングランド王国と統合されていたため、ユニオンジャックに直接その国旗が反映されることはありませんでした。この点は今日でも議論の的となっていますが、現在のイギリス国旗が持つ統一のメッセージに変わりありません。

過去の植民地時代とユニオンジャック

イギリスはかつて「大英帝国」と呼ばれる広大な植民地を築いた歴史があります。アジア、アフリカ、アメリカといった地域を支配し、そこではしばしばユニオンジャックが掲げられていました。そのため、イギリス国旗は世界中でその存在感を示すと同時に、時には帝国主義の象徴として捉えられることもあります。

植民地時代の影響で、現在でもユニオンジャックはオーストラリアやニュージーランドのような旧イギリス植民地の国旗デザインに影響を与えています。また、ハワイ州の州旗にもユニオンジャックが組み込まれるなど、イギリスの歴史的な影響力を感じさせる例があります。

アイルランド独立と国旗の変化

アイルランドは1801年に連合に加わり、イギリス国旗には「セント・パトリック・クロス」が取り入れられました。しかし、アイルランド民族主義運動が広がり、1921年にアイルランド南部がイギリスから独立し「アイルランド自由国(現在はアイルランド共和国)」となりました。一方、北アイルランドは引き続きイギリスに残り、現在の「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」へと移行しました。

この時、国旗のデザインに大きな変更は行われませんでした。北アイルランドを象徴するセント・パトリック・クロスはそのままユニオンジャックに残され、イギリスの統一を象徴する役割を維持しています。この背景には、イギリスが一つの「連合王国」であることを強調する意図があるといわれています。

ユニオンジャックに関する豆知識

上下が逆になるとどうなる?

ユニオンジャックは、上下が逆になるとイギリス国旗として不適切な表示となります。一見シンメトリーに見えるユニオンジャックですが、よく見ると赤い斜め十字(セント・パトリック旗)の配置が非対称です。この特徴から、上下が逆になるとすぐに間違いが分かるようになっています。国旗が逆さまに掲揚されることは、一般的に「緊急事態」や「SOS」を意味するとされます。つまり、ユニオンジャックが逆さまに掲げられていた場合、それは単なるミスではなく、国際的に誤解を生みかねない重大なエラーとなります。

どんな場面で使われる国旗か

ユニオンジャックはイギリスを象徴する国旗として、国内外で幅広く使用されています。公式には政府関連の建物や国家行事で掲揚されるほか、スポーツイベント、特にオリンピックやサッカーなどの国際大会でもイギリスを代表する旗として使用されます。また、イギリス海軍の軍艦の旗や、一部の海外領土の旗にもユニオンジャックが含まれています。さらに、愛国的なデザインとして一般市民の間でも親しまれており、日常的な記念日やお祝いの場でも見かけることが多いです。

似たデザインの国旗との違い

ユニオンジャックは非常にユニークなデザインですが、世界には似た要素をもつ国旗も存在します。たとえば、オーストラリアやニュージーランドの国旗にはユニオンジャックが含まれており、これらの国旗はイギリスの植民地時代の歴史を反映しています。しかし、それぞれの旗には独自の要素も加えられています。オーストラリアの国旗には南十字星が描かれ、ニュージーランドの国旗は星の色や配置が異なります。これにより、似ているように見えつつも、それぞれの国の独自のアイデンティティを示しています。

ファッションやデザインとしてのユニオンジャック

ユニオンジャックは国旗としてだけでなく、ファッションやインテリアデザインのモチーフとしても人気があります。ビビッドな赤、白、青のコントラストが洗練されたイメージを持つため、服やバッグ、家具、アクセサリーなど幅広いアイテムで使用されています。特に、イギリスの音楽やカルチャーが注目された1960年代の「スウィンギング・ロンドン」時代から、ユニオンジャックは若者文化の象徴ともなりました。このように、ユニオンジャックはイギリス国旗としての役割に加えて、日常生活の中でも多くの人々に親しまれ続けています。

まとめ

イギリス国旗は、多様な歴史や文化を反映したデザインを持つ、象徴的な存在です。その正式名称は「ユニオンフラッグ」ですが、「ユニオンジャック」という名前でも広く知られています。イングランド、スコットランド、アイルランドの3つの国旗が融合して現在のデザインとなり、それぞれの守護聖人や由来が国旗にしっかりと刻まれています。ただし、ウェールズが含まれていない理由も歴史的背景に基づいており、イギリスという国名にも深い意味が込められています。

また、この国旗はイギリスの統一の象徴であるだけでなく、時代を超えてファッションやデザインにも採用され、多方面で愛されています。その一方で、歴史の中で植民地時代やアイルランド独立といった出来事が国旗に影響を与えてきた点も見逃せません。

イギリス国旗にまつわるエピソードを深く知ることで、イギリスの歴史や構成国同士の関係性をより理解できることでしょう。「イギリス国旗の意味」「イギリス国旗の由来」などを通じて、この国旗が持つメッセージに気づくきっかけになれば幸いです。

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