イギリスで仕事がしたい!就労ビザを取る方法や難易度について解説

イギリスで仕事をするには、適切な就労ビザを取得する必要があります。イギリスの就労ビザには、職種や応募条件によってさまざまな種類があり、申請者の状況に応じて最適なビザを選ぶことが重要です。

イギリスではビザにポイント制が導入されており、雇用者や申請者のスキル、年収などが審査基準となっています。以下で代表的な就労ビザを詳しく見ていきます。

 

イギリスの就労ビザとは?概要と種類をチェック

Skilled Worker Visa(旧Tier 2)の特徴と要件

Skilled Worker Visaは、イギリスで専門的なスキルを持つ人材を雇用するための就労ビザで、旧Tier 2ビザに代わるものです。このビザを取得するためには、まずイギリス政府が認定するビザスポンサー(企業)からの正式な雇用オファーが必要です。また、最低年収基準(2024年4月以降は38,700ポンドに引き上げ予定)や英語能力テストの合格が要件となります。

このビザの特徴は、専門性が高い職種への就労が求められる点です。具体的には、ITエンジニア、医療スタッフ、教育者など、特定の職種が対象となります。一方で、カフェスタッフやレストランのバリスタといった職種では取得が難しい場合があるため、事前に条件をよく確認したほうがよいでしょう。

Youth Mobility Scheme(YMS)ビザを活用する方法

Youth Mobility Scheme(YMS)ビザは、主に若い日本人が対象となるビザで、イギリスで最大2年間の滞在と就労が可能です。このビザは主にワーキングホリデー目的で活用されることが多く、ビザスポンサーが不要で、比較的柔軟に働ける点が特徴です。

応募するには18歳以上30歳以下であることに加えて、一定の資金証明(約1,890ポンド)が必要です。また、プロスポーツ選手や公的資金を利用した活動など、一部の働き方が制限されています。滞在中はフルタイムで働くことができるため、ワーホリや短期のイギリス滞在を検討している方に適しています。

その他の就労ビザの種類と用途

イギリスには、Skilled Worker VisaやYMS以外にもさまざまな就労ビザがあります。たとえば、Tier 1ビザは起業家や投資家、特定の科学技術分野で活躍する高度なスキルを持つ個人が対象です。このビザは取得の難易度が非常に高く、通常、十分な資金と経験が求められます。

そのほか、介護職や農業労働者、一時的な働き方を希望する方向けの異なるビザもあります。それぞれのビザには特定の用途や条件があるため、自分のキャリア目標に合った種類を選び、条件を満たしているか確認することが大切です。

EU離脱後のビザ制度の変化

イギリスのビザ制度は、EU離脱(ブレグジット)以後、大きな変化を迎えました。以前はEU市民であればイギリスで自由に働けましたが、現在ではEU市民も日本人と同様に就労ビザが必要です。この変化により、イギリスのビザ申請者数は増加し、競争が激化しました。

また、国境管理が強化されたことでビザ取得のプロセスがより厳格になり、申請者にはより明確な職歴やスキルの証明が求められています。一方で、特定の分野や職種では人材不足が生じており、日本人を含む海外人材に就労ビザを与える企業も増えている状況です。

イギリスで就労ビザを取得する基本的な方法

申請プロセスの流れと必要書類

イギリスで就労ビザを取得するためには、まず申請プロセスを正確に理解することが重要です。一般的な流れとしては、雇用主が「ビザスポンサー」として認定されているかを確認し、その後、オンラインでの申請を進めます。必要書類としては、パスポート、有効な雇用契約、英語力を証明する書類(IELTSなど)、資格証明書、犯罪履歴証明書などがあります。また、ビザ申請費用の支払いに加え、イギリスの医療サービスを利用するためのヘルスサーチャージも支払う必要があります。

ビザスポンサーの見つけ方と企業との契約

イギリスの就労ビザを取得するためには、「ビザスポンサー」として認定されている企業での採用が必要です。主に求人サイトや転職エージェントを活用し、スポンサーライセンスを持つ企業を見つけます。特にITやエンジニアリング分野など、特定のスキルが求められる職種には求人が多い傾向があります。企業との契約には、就業条件や報酬がビザの最低基準を満たしていることを確認し、雇用主がビザスポンサーとして正式に申請していることを確かめることが大切です。

最低年収基準と条件に合う求人の探し方

イギリスの就労ビザには、申請条件として最低年収基準が設けられています。たとえば、Skilled Worker Visaの場合、最低年収基準は2024年4月から38,700ポンドに引き上げられる予定です。業界や職種によってこの基準が異なるため、条件に合う求人を探す際は慎重に確認する必要があります。求人を探すには、LinkedInや海外専用の求人ポータルサイトが便利です。また、特定の技能や経験が求められるケースが多いため、自分のスキルセットを強調し、応募文書で具体的にアピールしましょう。

オンライン申請と面接のポイント

就労ビザの申請はオンラインで行うのが基本です。申請フォームには、個人情報や雇用に関する情報、スポンサーに関する詳細を正確に記入する必要があります。申請フォームを送信後、一部の場合は生体認証(指紋や顔写真)の登録や面接への出席が求められることがあります。面接では、イギリスでの仕事の目的や経歴を明確に説明することがポイントです。また、面接官は、申請内容に矛盾がないかを厳密に確認するため、事前に提出書類と一貫性のある回答を準備しておくことが重要です。

イギリス就労ビザ取得の難易度と対策

イギリス就職市場の現状と日本人への需要

イギリスで就労ビザを取得して働くためには、現地の就職市場について理解することが重要です。現在のイギリスでは、EU離脱後の労働力不足や新型コロナウイルスの影響で、一部の業種で外国人労働者の需要が増加しています。特に日本人は、高い技術力や責任感、コミュニケーションのスキルが評価され、IT分野や製造業、ホスピタリティ業界などで需要があります。特定の技術が必要とされる職種では、日本人がイギリスの企業内で重要なポジションを占めることも珍しくありません。

競争率が高い職種と人手不足の職種

イギリス国内での競争率が高い職種としては、マーケティングやクリエイティブ領域、法律関係などが挙げられます。一方で、人手不足が懸念されている職種も存在し、特にITエンジニア、データサイエンティスト、看護師、建設業界の職人などが該当します。これらの人手不足の職種では、Skilled Worker Visaの対象となる場合が多く、外国人労働者が歓迎される傾向にあります。ただし、それぞれの職種において必要とされる英語力や資格に注意しながら応募することが重要です。

取得が困難な場合の代替手段

イギリスの就労ビザを取得する難易度は、職種やスキル、条件によって異なります。例えば、希望する求人においてビザスポンサーを得られない場合、別のルートを検討することも可能です。代替手段としてよく利用されるのがYouth Mobility Scheme(YMS)ビザです。このビザは18歳~30歳の日本国籍者を対象としており、比較的簡単な条件で最大2年間働くことができます。また、長期的に滞在したい場合は、高度な資格を活かしてTier 1やTier 2ビザへ切り替えを検討することも一つの方法です。

職歴やスキルのアピール戦略

イギリスでの就労ビザ取得を目指す際には、職歴やスキルを効果的にアピールする戦略が必要です。企業がビザスポンサーとなるためには、あなたが求められる条件を満たし、かつ重要な人材であることを示す必要があります。そのため、履歴書や職務経歴書には、過去の実績を具体的に記載し、転職を希望する職種に関連するスキルや経験を強調しましょう。また、英語力も重要なポイントとなるため、試験結果(IELTSなど)を提示することで信頼性を高めることができます。さらに、LinkedInなどのオンラインプロファイルを活用し、現地企業とのつながりを作る努力も有効です。

実際にイギリスで仕事をする際の注意点

就労ビザ更新時の手続きと条件

イギリスの仕事を続けるためには、就労ビザの有効期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。更新には、在職証明や収入証明書、スポンサー企業からの継続契約の証明など、申請に必要な書類を準備することが求められます。また、英語能力証明を含むビザ取得時の条件が満たされていることも確認されます。

注意点として、就労ビザ更新の手続きは早めに開始することが重要です。申請プロセスには一定の期間がかかるため、期限を過ぎると一時的に滞在資格を失う可能性があるからです。特にロンドンなどで忙しい職場に勤務しながら手続きを進める場合、スケジュール管理が必要になります。

現地での生活費や住まいの確保

イギリスで仕事をする場合、生活費や住まいの確保に十分な準備をしておくことが大切です。特にロンドンは物価が非常に高く、家賃や公共料金を含めた維持費が収入の大部分を占める可能性があります。初めて滞在する場合、通勤しやすい地域を選びながら、予算内での住まい探しを行うことが求められます。

また、住まいを確保する際には、賃貸契約に必要な書類や保証人の確認が必要です。提供される契約条件を詳しく確認し、不利益を被らないよう十分注意しましょう。生活費を予算内に抑えるためには、食材の現地購入や交通費を節約する工夫も役立ちます。

就労中のビザ違反を避けるポイント

イギリスで仕事をする際には、特定のビザ要件に従い勤務内容や勤務時間を守ることが不可欠です。例えば、一部の就労ビザでは定められた職種以外の仕事に従事することが禁止されています。また、規定された勤務時間を超えた労働を行うことも違反行為に該当する可能性があります。

ビザ違反は、最悪の場合国外退去や再入国禁止措置を受けるリスクを伴います。そのため、契約内容や就労ビザの条件を明確に理解し、問題が発生しそうな場合には早めに上司やビザ申請の専門家に相談することが重要です。

イギリスでの労働文化と日本との違い

イギリスの労働文化は日本と異なり、仕事とプライベートのバランスを大切にする傾向があります。有給休暇の取得が奨励されることが多く、休日出勤の頻度も日本に比べてかなり少なく、働く人の「仲間」としての意識が大切にされています。

また、職場では個人の意見やスキルを尊重する文化が根付いています。一方で、日本のように細かい指示を待つスタイルではなく、自己判断で業務を進めることが期待されることも多いです。このため、転職やワーホリでイギリスに渡り初めて仕事をする場合には、職場の文化やコミュニケーションスタイルに柔軟に適応することが必要です。

まとめ

イギリスで仕事をするためには、就労ビザの取得が必要不可欠です。就労ビザに関する制度や手続きは年々変化しており、特にEU離脱後は申請の難易度が一定水準以上に厳格化されています。しかし、Skilled Worker VisaやYouth Mobility Scheme(YMS)ビザなど、さまざまな選択肢によってイギリスでの仕事を実現することは可能です。

申請プロセスでは、スポンサー企業の確保や必要書類の準備、最低年収基準のクリアといった要素が重要です。イギリスの転職市場において日本人に求められる職種を見極め、職歴やスキルなどをアピールする戦略が有効となります。また、取得が難しい場合でも、Youth Mobility Scheme(ワーホリ)などの代替手段を活用し、イギリスでの滞在を視野に入れることができます。

イギリスでの生活では、住まいの確保や生活費の管理、就労ビザの更新手続きといった実務も忘れてはなりません。加えて、ロンドンなどの都市における労働文化や休日出勤の有無など、日本との違いを理解することも、イギリスでの仕事を成功させる鍵となります。

イギリスでの就労を目指す際には、最新のビザ情報を把握しつつ、現地の需要を踏まえた綿密な計画を立てることが不可欠です。自分に合った在留資格や就労ビザの取得方法を見つけ、世界の仲間と共に新たな環境でキャリアを築きましょう。

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